cry no color

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思い出したようにキーを打ったりしない。やはり当然のように忘れっぱなしの言葉たちは振り向いたりしない。手に入れることよりも手放さないことに執着するくだらない自意識のもとで毎日をやりすごして、たまに誰かに会いにいく。いつもあなたに会いに。

少しだけ涼しくなって、雨が降る。永遠に続くように思われた、熱源を抱いているような体の不自由さ、それから解放されていつまでも布団をかぶっていても平気な、肌の温度。洗濯物がかわかなそうで機嫌を悪くする。約束も用事もないからただ眠るだけのこんな日を、特別な気がしてしまうのは、とても意外。


なにかを食べたいとか、どこかに行きたいとか、欲のままに時間を使えることは尊いと思う。制限は結局、お金くらいしかなくて、時間はいくらでも手に入ると思う。だからどうとでもなんとでもできるような勘違いをしていて、それはそれで楽しいかなって思う。思う。思っている。


八月一日

中華料理を食べたあと、京急電車とバスに乗って、人口の砂浜へ行き飛行機を見る。潮風が長い髪に絡みついて、汗とまじって、べたべたとする。恋人も私もたいしたカメラを持っていないけど、薄暗くなるまでなんとなく過ごせたのだ。空港へ導く光の坂、船がたまに行き来する海の上。この期に及んで足を汚したくないとか思っていたこと、なんとなく笑えるかもしれない。


八月十八日

地下鉄に乗って国会図書館へ行った。荷物を最小限にして薄いビニルの袋に詰める。空調のあまり効いていない食堂で生姜焼き定食を食べて、釣り下がっているテレビをなんとなく見て、調べ物をした。

すこし散歩をした。猫じゃらしを私は好きで、道端に生えているそれをむしって、遊んだ。道が広くてハイヤーが行き交う。小学生のとき国会議事堂を見学したけど、絨毯の柄以外あまりなにも見ていなかった、という話をする。

また地下鉄の駅について、銀座線に乗って浅草へ行った。大吉の恋人と吉の私は、まあまあなかなか。スカイツリーのところまでずっと歩いてソラマチで夕飯を食べた。


八月二十二日

花火大会へ行った。久々に浴衣をきたらかなり時間がかかってしまって、しかもなんだか帯が不格好なままで家を出る羽目になった。しかたがなくて自分のせいだけど。恋人は乗り換える駅のホームで待っていてくれて、私を見つけるとにこにこした。降り階段が少し怖い、はきなれない下駄がからんと鳴る。

高校生の時に何度か訪れた駅は、混んでいたけど、外へ出てしまうと広々としていた。建物はそんなに高くないから土手まで歩くのがすがすがしかった。懐かしく広い空。いつのまにか暗くなって、狭いレジャーシートを敷くと、なんだかとってもどきどきとした。枝豆と焼きそばとマックのポテトとたこやきとじゃがびーとビールとチューハイ。

恋人が寝転がるのがうらやましかったけど、浴衣だからできないね、と言われた。こうすればできるよ、といって、私は帯の結び目をくるっとおなかのほうに持ってきて、寝転がって笑った。


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